毎日の献立を考えるのは正直くたびれる仕事なのに、ゲームの中でメニューを考えるのは、なぜあんなに楽しいのでしょうか。今日ご紹介する「異世界キッチン 行列のできる現代料理のお店」は、異世界で料理店を切り盛りする経営ゲームです。App Storeの評価はなんと4.6。遊んでみると、この数字に納得しました。
開発は日本の会社で、2024年9月の配信。派手な戦いはひとつもなく、あるのはお店と料理とお客さんだけ。公式画像5枚とともに、この可愛らしい良作を正直にご紹介します。

どんなゲーム? 異世界でお店を切り盛り
主人公は、ひょんなことから異世界で料理店を営むことになった女子高生。プレイヤーは店主として、その日の天気や街の流行を見ながらメニューを決め、スタッフを配置して開店します。営業が終わったら売上を確かめて、明日の作戦を考える。この繰り返しでお店を大きくしていきます。
いわば毎日が「お店ごっこ」の本格版です。昔ながらのお店屋さん遊びの楽しさが、そのまま大人の頭の体操になっています。

献立を考える楽しさだけを取り出したゲーム
現実の献立と違って、このゲームのメニュー決めには片付けも買い出しもありません。雨の日は温かい汁物が売れるかしら、夏はやっぱり冷たい麺かしら。そんな読みが当たると、お店に行列ができてお金がちゃりんと入る。家事で鍛えた生活の勘が、そのまま得点になる珍しいゲームです。
主婦業の長い方ほど筋が良いはずです。日々の献立力は、異世界では立派な経営の才能です。

レシピは800種類以上。図鑑が埋まる喜び
料理を売っていると、組み合わせから新しいレシピが次々と見つかります。その数はなんと800種類以上。おなじみの家庭料理から、異世界ならではの不思議な一品まで、レシピ帳がどんどん厚くなっていきます。
切手集めや御朱印集めと同じで、集まっていく帳面を眺める時間はそれだけで幸せなものです。今日はどんな料理に出会えるか。それが毎日の小さな楽しみになります。

エルフやオーガと一緒に働く
お店で働いてくれるのは、エルフ、オーガ、獣人といった異世界の住人たち。50人以上いるスタッフにはそれぞれ得意不得意があって、誰にどの持ち場を任せるかを考えるのは、さながら小さな職場の人事です。
一緒に働くうちに、スタッフたちの身の上話が聞ける仕掛けもあります。種族は違えど、働く悩みはどこの世界も似たようなもの。従業員たちがだんだん家族のように思えてきます。

1日の付き合い方
お店の1営業日は数分で終わります。朝のコーヒーの間に1日、昼休みに2日、寝る前に3日。そんな細切れの遊び方が最初からきちんと想定されている作りで、時間に急かされる要素がほとんどありません。
アプリの容量も約400MBと軽く、古めのスマホでも入れやすいのがありがたいところ。ダウンロードはWi-Fi環境でどうぞ。
序盤の進め方
始めたら、まずは画面に出る「今日の売れ筋」の案内をよく見ることです。お客さんの求めるものを、求められる日に出す。商いの基本を守るだけで、序盤のお店は面白いように順調に育ちます。
儲けが安定してきたら、たまには売上を気にせず、新しい料理の実験に付き合う日を作ってみてください。新レシピの発見はそういう寄り道の先にあります。堅実と冒険の使い分けも、経営の醍醐味です。
戦いのない、やさしい世界
このゲームには敵も戦いもありません。他のプレイヤーと比べられることも、順位表に追い立てられることもなく、自分の店を自分のペースで育てるだけです。誰かと競わされるゲームに少々疲れてしまった方には、この穏やかさこそが何よりのご馳走だと思います。
それでいて、頭は結構使います。のんびりしているのに退屈しない。この塩梅が絶妙です。
腕試しの「迷宮」もあります
お店の経営に慣れた頃、育てたスタッフを連れて挑む「ワンパン迷宮」という腕試しの場が開きます。1回3分ほどで終わる気軽な探検で、経営の合間の気分転換にちょうどいい味付けです。
うちの店の従業員たちが冒険の舞台で活躍する姿は、親心のようなものでつい応援したくなります。経営一辺倒にならない、良い息抜きです。
家族との話のタネにもなる
料理のゲームというのは、家族との会話と相性が良いものです。「今日はお店でオムライスが売れ残ってね」なんて愚痴も笑い話になりますし、「新しいレシピでハンバーグの珍しいやつを見つけた」という話なら、夕飯の食卓で子どもも乗ってきます。ゲームの中の献立が、現実の献立のヒントになることさえあります。
お子さんと一緒に「次はどの料理を出す?」と相談しながら遊ぶのも楽しいものです。9歳以上対象で、内容も安心して見せられる健全さです。
長く続いている安心感
2024年の配信から今日まで、新しいレシピやコンテンツの追加が続いています。作りっぱなしで放置されるゲームも多い中、きちんと手入れされ続けているお店は、通う側としても安心です。
日本の会社の作品らしく、言葉遣いや説明も丁寧で読みやすい。細かいところで引っかからないのは、毎日触るものとして大事な美点です。
課金まわりの正直なところ
課金は進みを早める道具が中心で、しなくても困らない作りです。人と競うゲームではないので、課金で置いていかれる焦りとも無縁。広告も見るかどうか自分で選べる形で、押し付けがましさがありません。
お財布への行儀の良さは、最近のスマホゲームの中でもかなり上等な部類だと思います。
気になった点も正直に
正直に書いておきますと、絵柄は可愛らしい反面、派手な演出を求める方には地味に感じられるはずです。また、遊びの中心が「考えて、試して、確かめる」の繰り返しなので、何も考えずスカッとしたい日のゲームではありません。お店が大きくなった頃に、日々の営業が少し似てくる時期もあります。
いずれも作りの丁寧さの裏返しではありますが、向き不向きははっきりしている作品です。
こんな人にちょうどいい
- 料理や献立を考えるのが好きな人
- お店を切り盛りする物語やドラマに昔から弱い人
- スキマ時間に数分だけ、頭の体操になる遊びが欲しい人
- 争いのない、ひとりで完結するゲームを探している人
まとめ:生活の勘が活きる、上質なお店ごっこ
異世界キッチンは、献立を考える楽しさ、お店が育つ張り合い、レシピ帳が厚くなる喜びを、争いのない世界で味わわせてくれるゲームです。評価4.6という数字は、この丁寧な作りへの正当な評判だと感じました。生活の勘に覚えのある方なら、きっと筋の良い店主になれます。私のおすすめ度は★4つ(5点満点)です。まずは記念すべき最初のお店の開店から、どうぞごゆっくり。