今回は、当ブログとしてはかなり異色の一本を取り上げます。CHILLBASEの「OneState RP」。現代のロサンゼルスを模した街で、最大900人の生身のプレイヤーが警察官やギャング、救護隊員として「役を生きる」オンラインのロールプレイゲームです。App Storeの評価はおよそ3.3。正直に言えば、手放しでおすすめできる数字ではありません。
それでもご紹介するのは、この「RP(ロールプレイ)ゲーム」という文化が海外の若い世代で大きな存在になっていて、日本でも耳にする機会が増えているからです。どんな遊びで、何が楽しくて、何に気をつけるべきなのか。17歳以上対象の作品ですので、大人の目線で冷静に検証していきます。

RPゲームとは何か。全員が「役者」の即興劇
最初に言葉の整理をしておきます。ロールプレイゲームと言っても、ドラクエのような「RPG」とはまったくの別物です。ここで言うRPは、プレイヤー同士が警察官、ギャング、商店主といった役柄を演じ、即興劇のように街の日常を作っていく遊び方のこと。ゲームそのものはあくまで舞台装置で、面白さの本体は人間同士の即興のやり取りにあります。
本作のひとつのサーバーには最大900人もの実際のプレイヤーが同居していて、街をパトロールする警察官も、商売に励む住人も、道ですれ違う通行人も、全員が生身の人間です。NPCの決められた台詞ではなく、予測できない人間の反応が返ってくる。この「生きた街」の感覚が、RPというジャンルの一番の魅力です。

できることは幅広い。車、仕事、そして人生設計
ゲームの中では、仕事に就いてお金を稼ぎ、車を買い、服装や住まいなどの身なりを整えて、自分の役柄の人生をひとつずつ組み立てていきます。ポケットサイズのロサンゼルスは意外と広く、探索するだけでも時間が溶けます。愛車をカスタムして仲間と流す時間は、この手のゲームの分かりやすい楽しみです。
正義感あふれる警察官として街の治安を守るもよし、あえて無法者の役を演じるもよし。もちろん犯罪ごっこはあくまでゲーム内の演技であって、それを互いに了解した上で成立している文化です。この「約束事の共有」がRPの根幹で、うまく噛み合ったときの物語は、既製のゲームでは味わえない濃さがあります。

では、評価3.3の理由はどこにあるのか
ここからは正直に申し上げます。まず、ゲームとしての作り込みは、はっきり発展途上です。操作性やグラフィック、動作の安定性には粗さが残り、大作オープンワールドの水準を期待すると確実にがっかりします。レビュー欄の不満も、不具合や動作まわりに集中しています。
そしてもうひとつの本質的な難しさが、面白さを他人に依存する構造です。良い住人に恵まれたサーバーでは最高の即興劇が生まれますが、マナーの悪いプレイヤーに当たれば台無しになる。ゲーム自体の品質より「誰と遊ぶか」で体験が振れるのは、RPというジャンルの宿命です。

実際に触ってみた印象。最初の1時間
実際に始めてみると、まず自分のキャラクターの顔立ちや髪型といった外見を作り込み、街に降り立つところからスタートします。チュートリアルは最低限で、あとは放り出される形。最初の1時間は「何をすればいいのか」を手探りする時間になります。この不親切さは、自由度の裏返しでもあり、人を選ぶ部分でもあります。
街を歩いていると、他のプレイヤーたちが思い思いに活動しているのが見えます。この「自分抜きで社会が回っている」感覚が本作の空気で、そこに混ざれるかどうかは、正直なところ本人の社交性次第です。声をかけるのが得意な人ほど、早くこの街の住人になれます。
日本語環境と時間帯のはなし
日本語のローカライズは一応用意されていますが、機械翻訳らしき硬さが残っていて、翻訳の質は正直粗めです。また、プレイヤーの中心は海外勢なので、日本の時間帯によっては日本語話者と出会いにくい場面もあります。言葉の壁を越えて身振りでやり取りするのも一興ですが、腰を据えて役を演じたい人は、日本語話者のコミュニティを探すところからが本番になります。
この辺りの敷居の高さも、評価が伸び悩む一因でしょう。逆に言えば、環境づくりの手間を惜しまない人にとっては、まだ開拓の余地が大きい土地でもあります。
大人として気をつけたいこと
本作は17歳以上対象です。武器や犯罪の描写があることに加え、生身の人間とのボイスやチャットのやり取りが遊びの中心なので、不適切な言動に出会うリスクはゼロにできません。お子さんが「友達がやってる」と口にする類のゲームですが、年齢区分の通り、子どもに勧められるものではないことは、はっきり書いておきます。
大人が遊ぶ場合であっても、本名などの個人情報を明かさない、不快な相手からはすぐ離れてブロックする、というオンラインの基本を守るのが大前提です。課金要素は車や外見などの装飾アイテムが中心で強制ではありませんが、人との関わりが軸のゲームはのめり込みやすいので、遊ぶ時間の使い方にも自衛が要ります。

それでも、この文化が広がる理由
ここまでずいぶん厳しめに書いてきましたが、実際に触ってみると、RPゲームというものが世界中で人気を集める理由も分かります。決められたクエストをこなすのではなく、自分の選んだ役で、他人と関わりながら物語を作る。それは遊びというより「もうひとつの社会生活」で、若い世代にとってはSNSの延長にある居場所なのだと思います。
本作もアップデートは現在も続いていて、動作や機能の改善は少しずつ進んでいます。ジャンル自体の将来性は本物なので、完成度が追いつけば評価は変わっていくかもしれません。現時点では「文化の見学」として触るのが、ちょうどいい距離感です。
こんな人にちょうどいい
- 海外で流行する「ロールプレイサーバー」文化を覗いてみたい人
- オンラインの人付き合いを楽しめる、コミュニケーション体力のある人
- 作り込みの粗さを「伸びしろ」と笑える人
- 逆に、ソロで気楽に遊びたい人・お子さんには不向きです
まとめ:おすすめ度は控えめ。でも知る価値はある
OneState RPは、遊びとしての完成度より、「RPという文化の入口」としての価値で語るべき作品だと感じました。評価3.3という数字は現状の作り込みへの正当な評価ですが、900人の人間が役を生きる街という発想そのものには、確かな引力があります。興味本位で覗いてみるだけなら無料ですし、肌に合わなければすぐ閉じればいいだけの話です。ただし年齢区分と自衛の基本だけは、どうかお忘れなく。私のおすすめ度は★2つ半(5点満点)です。